2025年7月4日金曜日

「大学と防災教育 兵庫県立大学防災教育研究センターにおける10年の実践」の前書きと後書き

 これまで、兵庫県立大学の防災教育研究センターがなくなったことについてブログに書いたことがあって、その際防災教育研究センター設立10周年を記念して出版した「大学と防災教育 兵庫県立大学防災教育研究センターにおける10年の実践」(神戸新聞総合出版センター、2022年3月発行、私が編集代表を務めました。兵庫県内全高校に配付。)を紹介したことがありました。

 私が設立に深く関わったのは大学院・減災復興政策研究科の方で、防災教育研究センターについては、既にできあがった組織・活動に後から参加させていただいたというような関係でした。
 そんな私でも、以下のような感想を持つくらい素晴らしい組織だったという記録として、
前書きと後書きを紹介しておきます。

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はじめに

 皆さんは「防災」や「教育」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか?

 例えば、「防災」は自衛隊や消防士の活躍する姿や避難所の様子、あるいは学校の避難訓練やダム・堤防など?「教育」は学校の教室で座って勉強すること?人によりイメージは違うと思いますが、防災も教育も、マジメでかたい印象があります。この本は、そんなイメージを少し変えてみたくて、つくりました。

 兵庫県立大学は、公立大では全国有数の規模を持つ総合大学です。阪神・淡路大震災(1995年)を経験した被災地の大学として、前身の神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の時代から、様々な復興支援や防災活動に取り組んできました。本書は、2011年に設立された防災教育センター(現・防災教育研究センター)が、10年間にわたって、どのように大学生や地域・社会と共に防災教育やボランティア活動等を実践してきたのか、その活動を取りまとめたものです。次のような方々に、ぜひ読んで欲しいと思っています。
・社会や気象現象などに関心があり、防災を学んでみたい大学生や高校生。
・日々、悩みながら防災教育を実践している全国の大学関係者。
・大学生や教員と何か一緒に連携・協働してみたいと考えている地域や学校、自治体、企業、NPO等の方々。
・これまで防災教育研究センターの活動を様々な形で支えてくれた方々。
・大学で防災を学んだ頃の初心を振り返りたい卒業生・修了生。  など

 本書を通して、大学の「防災教育」は多様で自由で、時に楽しく時に厳しく、そして思いやりと責任が求められる成長のプロセスだと、多くの方に知っていただき、我々の学びや活動の輪に加わっていただけることを願っています。

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後書き

 私が防災教育研究センターに着任したのは2016年4月です。着任前からセンターについては知っていましたが、同じ組織に入って改めて「設立当時からの先生方は、とんでもなくすごい防災教育活動をしている」と感じました。防災に秀でた人材の育成に加えて、人間教育としても素晴らしいもので、新鮮な衝撃を受けました。
 前身の防災教育センターの設立から10年が経ち、当初から活動の中心であった森永速男先生がご退官されようとする今、節目としてこれまでの素晴らしい取組や思考の過程を記録し、同じ防災教育に取り組む大学・教育関係者、防災関係者、そしてセンターの活動を支えて下さった方々にお伝えしたいと考えていたところ、本書の出版という貴重な機会に恵まれました。
 編集しながら実感したのは、センターの活動は、阪神・淡路大震災を経て兵庫県民が育んできた重層的な防災文化に支えられていることです。県立大学なので県民からの税金で支えられているのはもちろんですが、それ以上に「大学での防災教育は大切だ」という有形無形の後押しを、いつも心強く感じます。我々の防災教育の取組は、阪神・淡路大震災以降、たゆまず防災や被災地支援に取り組み続けてきた兵庫県民の成果の一つだと言えるでしょう。
 さらに、フィールド学習を重視するセンターの活動は、県内のみならず全国の方々のご支援・ご協力が不可欠です。大変な状況でも我々を受け入れてくださった被災地の方々、全国の防災関係者や地域・学校等で活動されている方々、そして本学関係者を含めたお世話になった全ての皆様に対して、改めて心より感謝申し上げます。本書にてセンターのこれまでの活動を報告させていただくと共に、多くの方から託された想いに応えられるよう、今後も努力して参りますので、引き続き叱咤激励やご指導・ご支援をよろしくお願いいたします。
編者 紅谷昇平
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