2025年1月11日土曜日

尼崎市での講演

1月9日、県阪神南県民センター主催の防災セミナー(尼崎市中小企業センター)で、「南海トラフ巨大地震と企業の事業継続 ~想定外の事態に備える~」というタイトルで、お話をさせていただきました。


オールハザードアプローチや結果事象による防災対策や、想定に頼りすぎるのを辞めましょうというような話をして、読売新聞でもご紹介いただきました。

https://www.yomiuri.co.jp/local/hyogo/news/20250110-OYTNT50061/


企業の防災対策や事業継続も、いろいろバージョンアップしないといけない時期が来ています。

 

2025年1月3日金曜日

「正しい」と判断する難しさ

  昨年は身近なところで、いろんなニュースが飛び交って「何が正しいのか分からない」という状況を目にすることがありました。(立場的に、具体的に書きにくいテーマです・・・)

 その時、ふと思い出したことがあります。

 私は、修士論文で阪神・淡路大震災に関する避難所の調査をしました。自分でも言うのも何ですが、けっこう頑張った論文ではあるのですが、査読論文としては発表していません。その理由は、「何が正しいのか、よく分からなかった」からで、ゼミの先生からも「これでは、学術論文にはなりませんねえ」というコメントをもらったのを覚えています。

 一つ例をあげると、ある避難所となった学校の先生へのインタビュー調査で「ボランティアで来てくれた若者がよく頑張ってくれた。素晴らしかった!」というお話を聞きました。しかし一方で、避難者の方からは「ボランティアの若者が我が物顔で、本当に大変で混乱した」という話も聞きました。

 もちろん、どちらも同じ避難所です。実際に避難所運営に関わったボランティアのリーダーの方にも話を聞けると、もっと解像度の高い分析が可能だし、何が起こっていたのか分かったのかもしれません。しかし、数多くの避難所調査をしている中、そこまで辿って調査をすることはできませんでした。なので、結論としては「何が起こっていたのか、本当のところは藪の中で分からない」という判断になりました。

 調査をしていると、このようなことはよくあります。私の調査や研究は、「一つの立場から詳しく調べる」というより、「いろんな立場の人から話を聞いて、総合的に判断する」というアプローチを取る傾向があるのですが、それもこの避難所調査の経験から来ているように思います。

 様々な関係者の意見を十分に聞けない状態だと、本来「何があったのか、正しいのか」は分からないはずなのですが、昨年は、片方の立場から「こういうことで間違いない」という主張が目立つ場面が多かったように思います。こういう場合は「分からない」と、考えを保留しておくことも大切だし、多角的な視点で事実にアプローチしているのは誰なのか、立ち止まって考えてみることも大切です。

 研究論文でも、行政やボランティアとか、どちらか片方の話しか聞いていないのに「○○の対応に問題があった」と断言しているものを時々見かけます。あれは、なぜ反対側の意見を聞いてみないのかなぁと思ったりもするのですが、片方の視点から詳細にアプローチするのも研究の手法としては、当然あり得ます。様々なアプローチの研究が積み重なって、一人ではたどり着けない結論に近づいていくのが研究なので、自分と異なる視点、手法、結果の研究を尊重するスタンスが、改めて重要だと感じました。



2025年1月1日水曜日

2025年の元旦のご挨拶

昨年は、家族や学生との楽しい思い出だけでなく、元旦の能登半島地震にはじまり、各地で紛争が続き、個人的にはお世話になった恩師の先生方との別れがあり、悲しみの多い年でもありました。

そのような中、令和6年能登半島地震の1周年でもある今年の元旦をどのように迎えれば良いのだろうかと、正直、複雑な想いを抱きながら、年末のぎっくり腰が多少マシになった中、年賀状の文面を考えておりました。

これまで、1月17日や3月11日は、あまりSNSやネットなどを見ないことが多く、今年の元旦とは言え、「おめでとう」や「お祝い」という言葉も使うことに抵抗がありました。とは言え、私という個人の中でもいろんな想いがあり、世の中でも、それぞれいろんな想いがありながら、元旦は気分を新たに「おめでとう」という言葉があるように思います。

たぶん新年を祝う気持ちと死者を悼む気持ちは、矛盾するものではなく、両方あるのが自然な感情なのでしょう。新年おめでとうと素直に言える気持ちと、被災地あるいはそれ以外でもそう言えない人がいることを配慮する気持ち、どちらも大切です。防災に関わる立場としては、被災地の方が再び安心し、落ち着いて元旦を迎えられるよう、そして全ての人が元旦を素直に祝えるような日が来るよう、微力ながら頑張っていきたいと思います。

そして、祝賀ムードの元旦にあっても、午後4時10分には、少しだけでも能登半島地震の被災地に想いを寄せて下さる方が増えるよう願っております。

「いつか本当に笑いながら、話せる日が来るから」(fromさだまさし「道化師のソネット」より)

兵庫県立大学防災教育研究センターと公立大学防災研究教育センター連携会議

 先週、「 公立大学防災研究教育センター連携会議 」というものが開催されました。これは、10年程前にスタートした取組で、地域に根ざした公立大学が、地域防災を支えていこうというもので、共同での「ぼうさいこくたい」への出展や、大学どうしの情報交換などをしています。  これまでずっと中...