2025年2月23日日曜日

正誤表(「減災復興学」)第5章自治体・企業の災害対応体制の進展と課題

 2025年1月、所属する兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科で、阪神・淡路大震災30年の記念書籍を出版いたしました。


兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科(編著)「減災復興学 阪神・淡路大震災から30年を迎えてー」ミネルヴァ書房


私は第5章「自治体・企業の災害対応体制の進展と課題」を担当したのですが、かなり大きいミスを校正で見逃しておりました。

出版社の方が、図をきれいに書き直してくださったのですが、その際、凡例の確認をうっかりしておりました。結論が逆になってしまう大きなミスで、ミスの責任は、私の校正での見逃しにあります。

読者の方におかれましては、ご注意いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。



2025年2月22日土曜日

日本語論文のステイタスを示す方法

 ある先生から「留学生が、日本語の査読論文の価値が認められず、海外での就職活動に苦戦している」という相談を受けました。その大学では、事務方(海外の大学の教員採用では、教員ではなく事務方が主導することも多い)が、SSCI(Social Sciences Citation Index)掲載ジャーナルでないと実績として認めないそうです。

 SSCIは、web of scienceという論文データベースがあって、それに採用されているかどうかのIndexです。自然科学では約176分野、社会科学では56分野、人文科学分野28分野、合計約250分野が、Web of Science Core Collectionの対象になっています。
https://support.clarivate.com/ScientificandAcademicResearch/s/article/000004887?language=ja

 これとは別に新しい分野にはEmerging Sources Citation Index(ESCI)というのがあって、防災だと、日本のJDR(Journal of Disaster Research)が、ESCIに採録されています。


 なぜ海外の大学がSCSI採択を重視しているのかというと、世界レベルでの有名ジャーナルのリストであるし、なにより世界大学ランキングが、web of scienceのデータを元に作成されているということがあります。大学のランキングを上げるには、web of scienceの採録ジャーナルの実績を持っている人を雇用するのが効果的なわけです。

 日本でもweb of science掲載ジャーナルの実績を重視する大学は増えていて、教員公募の際、web of science採択ジャーナルかどうか記載するように、という大学もありました。

 ただ自然科学系に比べると、社会科学系は語学や地域性があって国内ジャーナルに投稿することが多く、不利になります。ある先生からは、「社会科学系でも著書は実績として認められず、web of science掲載ジャーナルの実績のみで評価されるようになった」という話も聞いたことがあります。

 留学生を集めるには、世界大学ランキングを上げるのは大切なのですが、「母国語で高等教育ができる」「その成果が新書などで一般の人も広がる」ことで「国民全体の知のレベルが向上する」という大学の社会的機能を考えると、日本語での情報発信を無視するのは、行き過ぎだと思います。
(この点では、兵庫県立大学は、研究・教育・社会活動とバランスよく評価される仕組みです)

 私自身でいえば、防災という実践的な分野なので「国内の人(行政や企業の実務者など)に読んでほしい内容、役立つ論文」は日本語で情報発信すべきであり、「普遍的に通用する理論、考え方」や「海外の方に知ってもらいたい日本の事例」は英語を用いるべきだと考えています。
 (ついつい、日本語で論文を書いてしまいがちなので、そこは反省です)

 

 冒頭の話に戻すと、「日本語のジャーナルで、SSCIに相当する価値を証明する方法はないか」という相談でした。

 さすがにSSCIとまでは言えませんが、J-stageという日本語論文データベースがあって、こちらに掲載されているジャーナルは、少なくとも「ハゲタカジャーナル(インチキジャーナル)ではなく、一定のステイタスが認められる」という証明にはなります。「Jstageには英語ページもあるので、こちらを示してみてはどうでしょうか」と、冒頭の相談にはお返事いたしました。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja

 もし、もっと良い方法や対策などご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひお教えください。
 防災分野だと、いろんな学会が乱立していて、学会のステイタス自体が落ちてきているところもあるので、日本独自の学会やジャーナルの評価の仕組み、そして英語圏が有利になりがちな世界大学ランキングに頼らない仕組みも必要です。

2025年2月19日水曜日

英検

 子どもが英検を受けるので、1月、私も受けてきました。

 実は昨年夏、英語力を試してみようとTOEICを受験してみたのですが、20~30代は730点とかIELTSで5.5とか取れていたのですが、625点まで下がってショックを受けました。神戸大時代は英語で授業もしたので、昔よりは英語力が上がっていると思っていたのですが、当時はともかく、今は全然ダメですね。。。

 そんなわけで、英語の勉強を少しやり直してみて、英検準1級の一次試験は合格しました。次は3月の二次試験です。
 大学教員だと、準1級は自慢にはならないのですが、1級は試験問題の単語が難しすぎて、過去問を見ても解ける気がしませんでした。あれは単語を中心とした試験対策が必要です。ちなみに、受験した部屋では、私が最年長のような感じで、中には小学生っぽい子どももいました。最近の子ども、すごい。

 私が子どもの頃と言えば、中学時代に周りが英検3級に合格するなか、私は二次試験に落ちてしまって、英検は4級しか持っていません。そのせいで英検には苦手意識があり、これまで受験しなかったのですが、約40年ぶりにリベンジ(?)できるチャンスができました。3月の二次試験、がんばります。




2025年2月17日月曜日

おまけ



 久しぶりに京大に行ったら、吉田寮がきれいになっていたので、写真をアップしておきます。

三村浩史先生を語る会

 昨年11月、大学院(修士)時代の恩師である三村浩史先生が亡くなられ、 昨日2/16に京都大学にて「三村浩史先生を語る会」が開催され、京都マラソンの交通規制をかいくぐって(?)、参加して参りました。

 三村先生の奥様はじめ、ご縁のある方々のお話が大変印象深く、記憶に残るエピソードばかりでした。中でも、H先生が「三村先生は、(左翼でなく)リベラリストで、モダニスト」という言葉が印象的でした。H先生がおっしゃると、褒め言葉ではなく、いろいろな意味が込められてそうですが、リベラリストを自由と人権を大切にする「リベラル」の意味で捉えると、私的にはとてもしっくり来ました。

 私自身、自分はリベラルだと思っていたのですが、最近はちょっと変わった自称リベラル(?)の方をメディアで見かけることもあって、感覚がゆらいだりもしました。今回、三村先生の学問に対するスタンスや価値観を思い起こしてみると、自由で軽やかでユーモアがあって、確かに「リベラリストでモダニスト」という表現がしっくりときました。そして、そういうところが今の自分にも繋がっているのだなと嬉しくもありました。

 またH先生のお話を聞くと、三村先生の師匠でもある西山夘三先生が、多様性やバランスを大切にする一面も知ることができ、多様な流れの源流はそういうところにあったのだなとも感じました。
(そういえば、私の人生、中学の陸上部から始まり、高校、大学、シンクタンクと、自由とか自主、自律とか、そういうカルチャーの所を選んで渡り歩いている気がします。今がいちばん縛りが厳しい環境かも・・・)

 語る会は年齢的には大先輩の方が多かったのですが、近い世代の参加者も多く、本当に卒業以来の交流という方もいらっしゃいました。研究室での出会いだけでなく、三村先生ご夫妻には、結婚式の仲人もご無理を言ってお引き受けいただき、公私ともに心からの感謝しかありません。「ご恩返し」はできませんが、次の世代への「ご恩送り」をすることで、少しでも三村先生から学んだことを伝えて参ります。
(「恩送り」という言葉も、昨日の語る会でのスピーチで知りました。いい言葉ですね)

 最後に「三村浩史先生を語る会メッセージ集」に寄せた原稿を転載し、これまでの感謝と哀悼の意をお示しいたします。「語る会」を企画・運営していただいた皆様、本当にありがとうございました。

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 三村先生と最後にお会いしたのはコロナ禍直前の2019年11月、近い学年の卒業生が集まった機会でした。その頃からご体調が芳しくないとはお聞きしておりましたが、ご訃報を知ると信じたくない想いです。

 三村研に在籍した3年間はあっという間でしたが、先生の教えと先生を通して得た数多くの出会いは、かけがえのない一生の財産になりました。数で言えば楽しい思い出ばかりなのですが、調査中にドクターの学生が働いているのに修士の学生がサボっていて注意されたり、ヒアリング先に遅刻したり、学会発表では先生が見に来てくれた時に限ってOHPのシートを研究室に忘れてしまったり、先生の前で失敗した記憶の方が鮮明に残っています。また、ちょうど30年前の修士1回生の冬、阪神・淡路大震災が発生しました。成り行きで被災地の調査を始めると、「三村研で震災の調査をやっているのは君だから」と、学生の立場でありながら先生の代理として様々な研究会や会議に出席させていただきました。それらの経験や人との出会いが、防災や復興を研究する今の自分につながっており、三村先生が指導教員でなければ防災研究者にはなっていなかったように思います。

 大学教員となった今、学生と接する中で三村先生の言葉や姿勢をよく思い出します。三村研のような自主・自律・自由な雰囲気や、学生に学びの機会を与え成長や気付きを待つゆとりが大学から失われないよう、少しでも受け継いで参りたいと思います。これまでのご指導に改めて感謝申し上げると共に、心よりご冥福をお祈りいたします。

(1994年4月~1997年3年、修士課程・研究生在籍 紅谷昇平)

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兵庫県立大学防災教育研究センターと公立大学防災研究教育センター連携会議

 先週、「 公立大学防災研究教育センター連携会議 」というものが開催されました。これは、10年程前にスタートした取組で、地域に根ざした公立大学が、地域防災を支えていこうというもので、共同での「ぼうさいこくたい」への出展や、大学どうしの情報交換などをしています。  これまでずっと中...